日本キリスト教団   葉山教会 240-0112 神奈川県
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Hayama Presbyterian Church

祈祷会「雅歌」講解5

中村健一牧師

雅歌1章8節

『女のうちの最も美しい者よ、あなたが知らないなら、群れの足跡に従っていって、羊飼たちの天幕のかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい。』

「女のうちで最も美しい者よ」とあります。これは私たちひとりびとりを表わし、何よりも主の教会をさしています。そこに連なる私たちのことを主はこのように呼んで下さるのです。あらゆる群れの中で最も尊く、主自ら御血潮をもて贖い給いし群れ、そのように宣言されているのです。この美しさとは、キリストの愛を受けた者の輝きです。私たちはそのような美しさに値する何ものもありません。それどころか罪の塊のような存在です。しかしその私たちがキリストの愛をいただき、キリストの贖いのもとに教会に招かれて生きる時、輝き得ぬはずの私たちの存在が、キリストの愛に輝くのです。

その私たちは何を知るべきでしょうか。「あなたが知らないなら」というのです。あなたが自分自身を知らなくてもよい。主なる神が私たちを知りたもう。主なる神が私たちを限りない愛をもって愛してくださる。私たちを最も尊いものとして受け入れて下さる。大切なことは、御子イエス・キリストにおける神の愛を知る者となりなさい。そのように求められているのです。

「群れの足跡に従っていきなさい」とは、教会の歴史を顧み、私たちに与えられた信仰の先人たちのその歩みが、どなたに従ったものであるかを見極めなさい、というのです。それは、キリスト御自身の歩みに行き着くのです。いや、私たちの今現在の信仰の歩みが、教会生活が、キリストに従う歩みとなっているなら、私たちは自分がどこに向かうのかを知らなくてもよい。私の足跡をそのままたどって行きなさい。御言葉に従ってゆく。その時、羊飼たちの天幕のかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい、との主の御言葉を聞くのです。

ヨハネ伝21章15〜17節 彼らが食事をすませると、イエスはシモン・ペテロに言われた、「ヨハネの子シモンよ、あなたはこの人たちが愛する以上に、わたしを愛するか」。ペテロは言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に「わたしの小羊を養いなさい」と言われた。またもう一度彼に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。彼はイエスに言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエス彼に言われた、「わたしの羊を飼いなさい」イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。ペテロは「わたしを愛するか」とイエスが三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべてをご存知です。わたしがあなたを愛していることは、おわかりになっています」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい」。

「あなたの羊を飼いなさい」と主は三度ペテロに命じました。これがペテロに対する主の召命でありました。同じ言葉が私たちにも告げられているのです。あなたから養われた生命をいただいた。その喜びと感謝をもって私の牧会伝道の業を共に担う者となりなさい。主イエス・キリスト自ら、私たちに求めていてくださる。私たちをその務めにふさわしい者としてくださる。ペテロがそうであったように、ただ主の恵みにおいて私たちがその御あとに従い、主の羊たちを(教会員と同じ信仰の仲間たちを)慰め、励ます者とされ、ならせていただいているのです。何よりもこれは教会の務めです。主の教会は陰府の門にも打ち勝つ。私たちはそこに連なる者とされている。それは、私たちが「キリストの体」という永遠の生命をもち、歴史の中で与えられていることです。その生命は死の力も奪うことはできないのです。